女の子が生まれたとの知らせを受けた時、
父が見た西の空は
紅(くれない)に染まる夕焼け空が広がっていたそうです。
その頃の母のノートには、
私の名前の候補が幾つも書き連ねてありますが、
父が見た紅(くれない)の空が命名の決め手になったのでしょう。
私は紅仁子(くにこ)と名付けられました。
その日父が見た夕焼け空はどんな紅色だったのか。
思いを馳せて眺める西の空は、毎日違った色をして暮れて行きます。
私(紅)の家(舎)という意味の「紅舎(べにや)」という屋号で
工房を運営し、染め物・織り物・縫い物、時々羊毛フェルト製品の
制作に励んでいます。
紅舎が生み出したものは、
日常の暮らしに必ずしも必要なものではありませんが、
日々の暮らしにほんのりと紅を差し、
手にすると心華やぐようなそんな日用の品を作っていきたい、
そんな思いでこの紅舎を営んでいます。
刻一刻と変化する夕焼け空のように、
私たちの心も体も変化します。
歳月を経てひとつずつ次のステージへと上がるその度に、
過去を悔やまず
未来を憂えず
今をよりよく生きる為の日用のアイテムとして
紅舎の品を手にして頂けたら幸いです。
今日が、最良の一日でありますように。
紅舎
店主 後藤紅仁子