レビューブックカバー

看護学校に通う姪より、レビューブックカバーなるものの依頼がありました。レビューブックとは、国家試験対策の参考書のようです。5センチほどの厚みのある辞書のようなサイズのこの参考書を常に持ち歩き、さっと開いて書き込んで、さっと開いて復習できるように、ペンや付箋、はさみやのり等の文房具も入れられるようになっている鞄型の大型ブックカバーです。

現役看護師の友人に聞くと、レビューブックって何?との回答。どうやら国試対策の参考書のようだと伝えると、そういえば昔は国家試験対策本というような名前だった気がする…との回答。そう、もう20年以上前のことなので、名前も進化しているようです。

生地選びやデザイン、パターン制作と進めましたが、かなり細かなパーツを必要とした為デザインとパターンの見直しが相次ぎ、思いの外時間が掛かってしまいました。ようやく本日発送です。レビューブックがきちんと収まるように願うばかりです。

お豆ちゃんが早速このカバーを見つけて、「あのピンクの鞄、お豆ちゃんの?」と聞いて来ました。とっても気に入ったようです。お豆ちゃんにこのサイズの鞄は丁度良さそうです。

【レビューブックカバー】
表:絹(ピンク地の鼓模様)・綿(オフホワイトの帆布)
裏:綿(ピンク地に白の水玉模様)
釦:信州遠山郷の姫胡桃の殻
紐:革紐・ガラスビーズ

カバーの表面。ボタンは、信州遠山郷の姫胡桃の殻。ハート型です。
ボタンを留める革紐にはガラスビーズを通して、長さ調節ができるように。
カバーの裏面。ポケットを付けました。
カバーの内布は水玉模様。
栞はボタンを留める革紐と同じ。ガラスビーズも付けました。

カバー内側の右側はファスナー付きポケット。左側は蓋付きの筆入れと付箋等を入れるポケット。

浴衣地エプロン

久し振りの新作です。
ずーっと作りたかったエプロン。
長年使っていた絣生地のエプロンが修復不可能なまでに劣化してしまったので、似たようなものをと思って自分用に作りました。
とても着心地良く、身に着けていると幸せだったので紅舎の商品にすることにしました。

生地はアンティークの浴衣地です。
骨董市で反物で販売されていたものを購入したため、縫い目や折り目,シミなどもなく良好な状態のもの。
ボタンは、長野の遠山郷に暮らす従妹が送ってくれた姫胡桃(ひめぐるみ)の殻。ハート形が可愛くてお豆ちゃんも気に入っていますが、このボタンは数が限られているため在庫限りとなります。終了後は鬼胡桃の殻に変更する予定。
紐は市販の織テープを利用し、お腹の部分にはポケットも付けました。

気に入っていたエプロンと似たような仕様にしたので、全体的に申し分ありません。申し分ないどころか、浴衣の生地が柔らかくてとても着心地が良いのでお気に入り度は更に上がっています。

浴衣の生地は画像のものともう一種類しかないので、骨董市でまた幾つか仕入れたいと思います。

浴衣地のエプロン

 

おでかけ包丁ケース

年初にオーダーが入りました。
紅舎の以前のブログをご覧になって、「おでかけ包丁ケース」を気に入ってお問い合わせくださいました。この包丁ケースは試作の段階で満足度が高く、それ以上の改良を進めて来なかった品ですが、今回の依頼を機に紐をより結び易く、また全体の厚みの改善も試みて、よりスッキリした仕上がりになりました。

結び紐は共布で作った紐で3か所固定
中央の生地は多摩織の男物の着尺
仕切りは4つ(包丁やスチール棒等合計4本分)
紐の内側に着尺を縫い付けて柔らかい仕上がりに

試作の松坂木綿を大変気に入ってくださっていましたが、入手した時点でアンティークの小さな端切れだったため、別の生地を幾つかご提案しました。その中から気に入ってくださったのが、コレ。濃いブルーのデニム地に八王子で織られた多摩織の男物着尺です。こちらも織物工場に勤めていた友人から端切れで譲ってもらったものだったので、二つと同じものは作れません。世界にただ一つです。

ご注文くださった方は、都内の日本料理店で料理長をなさっておられる方。そのようなご専門の方に毎日使っていただけるかと思うと心から嬉しく、希少な生地を使うことにも躊躇がありませんでした。特に、八王子で多摩織の伝統工芸士に師事していたせいか多摩織の端切れには愛着があります。大切に保管していたこの生地を、今回使うことが出来てありがたい気持ちでいっぱいです。
気に入って使ってくださることを願っております。
ご注文、ありがとうございました。

【おでかけ包丁ケース(オーダー品)】
地:デニム
飾り:男物着尺(多摩織)

 

ミドリノユズノハ

お名前に因んだカラーのフェルトボール。差し色に紫と桃色も入れました。

出産前にお豆ちゃんの為にモビールを作りましたが、お豆ちゃんは画一的ではないその動きに大興奮し、ずっとずっと飽きもせずに眺めていたんです。時に真剣に、時にハッスルして。赤ちゃんがこんなにもモビールに反応するとは知りませんでした。

以前勤めていた会社のご縁で知り合った友達に、間もなく3歳になる女の子がいます。なんと広島からの帰省ついでに我が家へ遊びに来てくれるというので、このフェルトボールと流木のモビールを作りました。お名前に因んだカラーを選び、モビール名も付けて贈りました。

よく走り、よく笑うユズノハちゃん。「きゃっきゃ」と可愛く笑うのですが、赤ちゃんの頃は今のお豆ちゃん同様に「ギャッギャッギャ」っと笑っていたそうです。お豆ちゃんも「きゃっきゃ」と笑える日が来るのでしょうか。

久し振りに会えて、すごく楽しくて幸せな一日でした。

モビール名もお名前に因んで命名しています。

お元気で

共同研究のため我らが職場にいらしていた方が、研究成果を上げて一段落したため鹿児島にある本社へ戻ることになりました。他社の方とはいえ、数年間同じ職場で仕事をして来たので、なんとも寂しい思いです。私は間もなく産休と育休に入るため、自分自身のビッグイベントも重なっているせいかそんな思いが一層強いようです。

小さな男の子を連れて新しい土地で暮らす奥様へ、サンキャッチャーの「はなやぎ」を贈りました。吊るす紐は紅舎で組んだ細い組紐です。

鹿児島での暮らしが、華やいだ日々になりますように。
そう願っております。

組紐のピンクは私の大好きな色。
紅舎のスタンプを上手に捺すのが日々の課題。

コチニールの赤

スターバックスが、ストロベリーフレーバーの飲料にコチニールというカイガラムシから抽出した赤い色素を使っていたという問題。多くの方がこの事を問題視していて、

「こんな虫なの?気持ち悪い」

とか

「嫌だ」

という感想を抱いておられるようです。
確かに、初めて見る方がそういった感想を抱かれることは至極当然のことです。こんなにも脚がありますし。

私がコチニールを知ったのは、かれこれ22年前。大学に入学して、染織を学び始めた頃のことです。天然染料に興味があって、コチニールやラックというカイガラムシからも染料が取れることを知り興味津々。早速染料屋さんで乾燥コチニールをお買い上げしました。煮出してみるとものすごく濃い赤い染液が抽出できました。その濃厚な染液に絹糸を浸すと、美しい赤い色に。天然染料は、色素を定着させる為の金属の種類によって色が変わります。私が使うのは、専らアルミと鉄。コチニールで染めた赤い糸をアルミを溶かした媒染液に浸すと、その赤い色がパッとより鮮やかな赤い色に変わります。心踊る瞬間。では、鉄は?ものすごく深みのある濃い紫色に変わります。
幼い頃からアジア諸国や中南米の暮らしや文化に興味を抱いていた私にとって、中南米の毛織物の鮮やかな赤は心に焼き付いて離れない色でした。中南米のサボテンに寄生するコチニールがこの赤い色だったのか、と感動するやら興奮するやらで、私はそれから好んでコチニールを使うようになりました。

このコチニールが着色料として食品にも使われていることは当時知ったのですが、赤色〇〇号などと書かれた着色料を使った食品を買うよりもずっと安心して買うことが出来ました。むしろ、コチニールが使われているのか!といった喜びにも似た感情(笑)。コチニールが赤い色素を持ってくれているお陰で、私は化学合成された色素を体内に取り込まずに済みます、ありがとう、というような感謝の気持ちまで(笑)。
今回のスターバックスの件は、幾つかの記事にもあるように「虫が使われていた」ということよりも寧ろ「ストロベリーではなかった」ということの方が重要だと思うのです。

メキシコやペルーの赤。美しく鮮やかな赤い色が使われた毛織物。その土地の気候や風土が生み出した美しい文化です。今でも、あの赤い色を見ると心ときめきます。私にとってコチニールの赤は、心弾む特別な色なんです。